ホーム > 資料室 > 歯っぴいトーク 北脇保之浜松市長に聞く

歯っぴいトーク

 広報誌「STEP8020」の発刊を記念して北脇浜松市長にインタビューを行いました。以下はその一問一答です。聞き手は浜松市歯科医師会の清水博子です。

Q: 議員から市長になられたわけですけれども、内容,量ともかなりハードなお仕事だと思います。そのハードなお仕事をされるにあたって、特に健康に関してですが、たとえば運動をしているとか、栄養をきっちり摂るとか、気を付けていらっしゃる事がありますでしょうか。

北脇市長 一つには食事の時間を守るということです。それは、たとえば朝ならば朝の時間、昼は12時頃とか、夜だったらできれば6〜7時の間にきちんと決まった時間に食事を摂るいう事をできるだけ心がけています。それは、なんとなくお腹が減ってくると、ちょっとイライラしてくるという面があるんで、そういう事からも、できるだけきちんきちんと食べるというふうにしているんです。やはり食事を決まった時間に摂る事が自分にとっては、一番の健康法だと思っています。

 運動とか他に何かやっていらっしゃる事はございますか。

 最近やっと落ち着いてきたので、運動は、以前テニスをやっていた事があるので、これからもちょっと時間を見つけてやりたいと思っています。

 人前でお話する機会がたいへん多いと思いますが、たとえばネクタイの色などは好感度の一つであるわけですが、そういう身だしなみの他にも、口元の美しさも重要なポイントだと思うのですが、お口に関して心がけていらっしゃる点、気を付けていらっしゃる事はございますか。

 朝と寝る前に歯を磨くという事ぐらいしかしている事はないんですが、ただ、食事をした後には、できるだけお茶を飲んだり‥という事で、口の中をさっぱりさせようという事は習慣的になっていて、そういう事はしていますけどね。

 歯科医に関しての事ですけれども、たとえば子供の頃の嫌な思い出とか、何かエピソードがありましたらお願いします。もちろん最近の事でもいいのですが…。

 子供の頃は、虫歯が多くてこれは生活習慣の問題であったかもしれないけれど、“歯”そのものがあんまり丈夫ではなかったかもしれないですね。よく学校の歯科の検査で、虫歯要治療なんて言われて歯医者さんに通っていました。その頃は、殆ど予約なしで毎日行って、行っても一回の治療時間が5分位しかなくて、ちょこっとやって「今日は終わり」で「また、来てください」という…そんな事で、長い間歯医者さんに通ったという子供の頃の思い出があるんですが。
それに比べると、今は予約制で一回の時間をタップリとって、簡単な事だったら2〜3回行けば終わってしまうという…子供の頃に比べるとずいぶん良くなったと思いますね。

 市長はホームドクターとして、ホームデンティストとして、かかりつけの歯科医師はいらっしゃいますか。

 ええ、います。たまたま私の高校の同級生が、歯科医をしているもんですから、家族ぐるみでお世話になっています。

 そうですか。そうしますと定期健診もむろん、されていらっしゃいますか。

 健診っていうんじゃなくて、なんかちょっと具合が悪くなったら行くっていう感じですかね。

 人間ドックとか、やられていますか。

 ドックには入らないんだけれども、健康診断で定期的なものはあるんで、それは受けています。

 その定期的な健診の中には歯科健診も入っていますか。

 それは、入っていないです。

 市長はお子様はいらっしゃいますか?

 上2人が男で、一番下が女の子で3人です。

 さて子供の歯を守るという観点からですが、虫歯予防にフッ化物の応用ということが、グローバルに認められていますが、浜松市ではたとえばフッ素洗口とか上水道のフッ素化であるとか、これらの点についてどのように考えていらっしゃいますか?

市としてフッ素の応用を進めていきたい

 そうですね。フッ素が虫歯予防とか歯の健康のために効果があるという事は、認められている事なので、浜松市としても色々な健康についての啓発などの中でフッ素の応用という事を進めていきたいと思っています。
 歯科の保健教育とか指導というのは、保育園とか幼稚園などで研修という形で行なわれていますから、その中でフッ化物の応用という事を進めていきたいと思っています。

 定期健診の必要性について、現在浜松市では40才以上の市民に成人歯科健診を行なっていますけれども、平成7年の厚生省の歯周疾患モデル事業の結果を受けて、節目健診として積極的に歯科健診事業をしてゆくような構想があると伺っておりますが、そちらの方は、いかがでしょう。

 その点については、浜松市は今成人歯科健診という事で40才〜69才の人を対象として行なっているわけなんですね。ですから、その点では全国でも他の市に比べて進んだ健康診断の政策を実行していると言えると思うんですね。
 今、厚生省の方針としての節目健診が導入される事によって、浜松市は40才〜69才という事ですから、かえってそれが後退してはいけないと思います。ですから、そういう節目健診という考え方を浜松市の政策の上でどう活かすかという事になると40才〜69才までの成人歯科健診をやるという事、これは当然継続しながら、むしろもっと節目の段階で健診を受ける人を多くするといった、歯科健診の制度の効果をあげていく事が課題ではないかと思います。そういう意味で40才とか、50才とか節目になった人にたとえば受診券を発送、郵送するとか、節目の年齢になった人にもっと健診を受けてもらうという事に力を入れた政策をやっていきたいと思っています。

成人の節目検診に力を入れていきたい。

 先日フォルテで行なわれた“歯の健康フェスタ”で、8020(80歳で20本の使える歯を残す)を達成された方が選ばれて表彰された訳ですが、8020実現のための取り組みについて浜松市としては、どうお考えですか。
  
 歯の健康という事で8020をもっと啓発していくというか、大勢の人に知って頂くという事をやっていく事。それと今、話が出たような成人の歯科健診の受診率をあげていく、そういった事が8020の実現につながると思いますよね。

 浜松市第四次総合計画の健康な街づくりについて市長の抱負を聞かせていただけますか。

 それは、やはり健康な街という事を実現していく為には、医療・保健・福祉の総合的な体制を作っていくという事が大切だと思うんですね。行政としては、たとえば市民の側に立った時にいろんな相談事があると思うんですね。健康に関する事、福祉に関する事を一カ所で受けとめて窓口となって対応していく、そういう仕組みをもっときちんと作っていく。そういう意味で保健福祉施設というような形で、まず南部に作り、そして今度中央に作り、そして東部に作るという事で、今進めていますけれども、医療と保健と福祉,これが総合化されて行政サービスとして市民に提供できるような体制を作っていく事を総合計画の中で取り組んでいきたいところです。

 その中に成人歯科健診事業を整えたあと、母子の方の歯科健診事業も計画に入っているようですが、具体的には、どのような事業展開をお考えでしょうか。

 今、浜松市では1才6ヵ月児健診と3才児健診をやっている訳なんですが、1才6ヵ月児の健診はかなり受診率が高い訳なんですね。平成10年ですと92.5% 、平成9年で96.3% という数字が出てるんで、いろんな受診の対象となる方の事情を考えるとかなり皆さんに浸透していると言っていいような数字だと思うんですね。
 ただ、3才児健診の方になるとこれは、内科などの健診と別にやっているものですから、3才児の受診率は低いんですね。平成10年で56.0%という事ですから、もう少し3才児の健診の受診率を高めていくという事が一つの課題だと思いますね。その為には今やっているような市のいわゆる歯の健康センターで3才児の健診を実施するだけじゃなくて、もっと手近な公民館とか、そういうところで健診をもっと拡充していくなどそういう取り組みが必要ではないかと思います。

もう少し3歳児の歯科健診の受診率を高めていきたい。

 介護保険と口腔ケアーについてですが、口は生命の門と言われていますけれども、噛む事と全身との関係ですね。日本の介護保険はドイツのそれを基に作ったものですが、もともと欧米ではほとんど寝たきりの在宅老人はいないということです。一時病院に入る事はあるでしょうが、それもすぐに社会に復帰させるような体制に病院も患者さんもおかれ、またその援助の為の介護保険であると言えます。それと比べると、日本の介護保険は、保険機能の充実にとらわれて、寝たきりが非常に多い。具合が悪いと病院に入れてしまい、そのまま寝たきりになってしまう、或いは寝たきりにさせてしまうという傾向にあるような気がするんです。寝たきりからの脱却という点で、噛む事は非常に重要であるし、口の中が汚れる事などが全身への悪影響を及ぼすというデータも出ているようです。できるだけ多くの方にそういう事を知って頂いて介護保険に少しでも歯科のサービスが反映されることが必要だと思うのですが、市長のお考えはいかがでしょうか。

  
 その通りですね。人間にとって口の中の健康という事が、身体全体の健康にとって重要な意味をもっている。特に高齢者にとっては、その通りだと思うんですね。平成10年度に厚生省の事業として口の中の状態を改善する事で、その人の健康にどういう効果があるかという事を、そのモデル事業として、ちょうど浜松市で実施して調査しているんですね。その結果が報告書になっていますけれども、社会福祉施設でその調査をしているわけですが、その結論としては、介護の必要な状態にある人が、もっと重い状態にならないようにする為には口腔のケアーが非常に大事だという結論になっているんですね。
 ですから、本当に少し介護が必要となった状態の人も、もっと状態の悪くならないようにする為には口腔ケアーが必要で、介護保険の中ではそういう事に取り組んでいかなくちゃならないと思うんです。介護保険制度の中で、要介護の診査をする時に、かかりつけ医の意見書を出して頂く事になっているんですけれども、その中で歯科の受診をしているかどうかという欄とか、又、医学的管理の必要性として訪問歯科診療が必要であるとか、訪問歯科衛生指導が必要であるとか、という事を意見書に書くようになってる訳ですよね。それは、私から言うまでもないんですが、そういう事をきちんと活用するという事は大事だと思います。又、介護支援専門員がケアープランを作る時にも、歯科の部分についてもケアープランの中に盛り込んでいく必要もあるんだと思うんです。介護保険の関係者であるかかりつけ医になるお医者さんとか、あるいは介護支援専門員になる方に研修などを通じて、歯科のケアーの必要性という事を十分に理解して頂き、そうした事を介護保険事業の中の介護の中にしっかり取り入れて行きたいと思っています。

口腔ケアを介護の中に取り入れていきたい。

 歯科医師会及び歯科医院に対してのご要望があればお聞きしておきたいと思いますが。

 具体的にという事ではないですが、歯の健康という事が、全身の健康の基礎になると思いますので市民に歯の健康の大切さという事をしっかり伝えたり、健診をしっかり受けてもらうなど、歯科医師会の皆さんといっしょになってやっていかなければならないと思います。是非歯科医師会の皆さんのお力を発揮して頂くようお願いしたいと思います。

 健診事業ということについて言うと、全身に関しては、わりと充実しているように思うんですが、歯科に関してはどうも立遅れていると思うんですが。私たちもがんばってはいるんですけれども…

 虫歯ができて歯が痛くなってから歯医者さんに行くのがまだまだ多いのかもしれませんね。
 それともうひとつは、日本人というのは歯科医の立場から見ると大概の人が歯槽膿漏にかかっていると言われているそうですが、私は専門外なのでそれが事実であるのか、わかりませんが、もし仮に事実であるとすると、歯槽膿漏の防止,歯ぐきの健康などという事にももっと力を入れていかなければならないんじゃないかと思いますね。

 中高年になると口の中の細菌叢が小さい頃に比べると変わってきまして、歯周疾患の原因菌がなぜか増えてくるんですが、成人になると、本人が自覚してなくても私達の目から見ると歯周病にかかっている場合が多くなります。日頃からのケアーがとても大事になってきます。

 それともう一つには、今の若い人というのは顎が小さくなってきて、そのわりに歯の大きさが変わらないから歯並びの悪い人が多いですよね。そういう社会的特徴があるような感じがするんですが、それは、国際的な交流が盛んになってくる中で私の理解する所では、欧米、特にアメリカなどでは歯並びの美しさを重視しますよね。歯並びを見ればどういうふうな育ち方をしてきたかがわかるという考え方があります。それを考えた時、日本の若い人達が歯並びが悪い人が多くて、それがそのまま世界の人達と交流するという事だと日本人に対する見方にマイナスになる部分もあるんじゃないかと思いますね。だから、もうちょっと歯並びの事も考えなくてはいけないと思います。
 予防するなど歯並びが悪くならないようにする方法もあるのですか。ちょうど歯の生え変わるような頃に…。

 うまく大人の歯の萌え方を誘導すると、うまい具合に萌え変わるという場合もありますね。

 今だと萌え変わる時期には自然にグラグラとしてきて抜け落ちて新しいのが出てくるというように自然にまかせている場合が多いですよね。そういう時も歯医者さんに行って誘導してもらえばきれいに萌えてくることもあるわけですね。その辺も市民の理解も高めていった方がいいんじゃないかなという気がしますね。

 市民にメッセージがありましたらお願いします。

 やはり高齢になっても生き生きとして活動する事、それはすごく大事な事だと思うので大勢の人がそうやって人生をエンジョイできるような街づくりを目指していきたいと思います。そういう時に高齢になっても人生を楽しむ為に歯の健康という事は、非常に大きな意味をもっていると思いますからその点についても歯科医師会の皆さんとも協力しながら行政としても力を入れてきたいと思います。

お忙しいところ、本日はどうもありがとうございました。


インタビューを終えて

 市長は思ったより気さくな方でなごやかな雰囲気の中でインタビューを終えることができました。各方面にわたり見識も深く、御立派な方でした。口腔保健行政にも理解を示してくださり今後の活動にも積極的にとりくんでいただけるようです。私達歯科医師会も行政と緊密な連携をとり、浜松市民の口腔環境の向上にさらなる努力をしていかねばと身が引き締まる想いでした。

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